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年度 2010年度 開講部局 理学部
講義コード HC051000 科目区分 専門教育科目
授業科目名 統計力学I
授業科目名
(フリガナ)
トウケイリキガク1
英文授業科目名 Statistical Mechanics I
担当教員名 嶋原 浩
担当教員名
(フリガナ)
シマハラ ヒロシ
開講キャンパス 東広島 開設期 3年次生   前期
曜日時限 水 3時限,4時限 講義室 理E102 
授業の方法 講義 授業の方法
【詳細情報】
講義中心,板書多用,自宅学習必須 
単位 2 週時間 2
対象学生 理学部物理科学科3年生
授業のキーワード 統計力学,熱統計平均,等重率の原理,ボルツマンの原理,小正準集団,正準集団,大正準集団,古典理想気体の状態方程式,自由エネルギー 
教職専門科目   教科専門科目  
プログラムの中での
この授業科目の位置づけ
統計力学I・IIは,学部3年生までのカリキュラムの集大成ともいえる重要科目で,4年生の卒業研究や大学院での研究の基礎となる重要な内容を学習します.前期のIでは,統計力学の考え方や定式化の基礎,初歩的な応用を学習し,後期のIIで学習する,同種粒子の量子統計力学や相転移などの,より高度な応用の準備をします. 
到達度評価
の評価項目
物理学プログラム
(知識・理解)
・物理数学,力学,電磁気学,熱力学,統計力学,量子力学の知識・理解
 
授業の目標・概要等 統計力学の考え方や定式化の基礎を身につけ,初歩的な応用を理解することを目標とする. 
授業計画 第1回 導入
・統計力学の意味と必要性
・統計集団と熱統計平均
第2回 微視的状態の記述
・古典力学と量子力学
・位相空間
・可逆性と不可逆性
第3回 小正準集団の方法1
・等重率の原理
・ボルツマンの原理
第4回 小正準集団の方法2
・統計力学的温度と熱平衡
・熱力学の第一法則の再構成
第5回 小正準集団の方法3
・古典理想気体の状態方程式
・2準位系
第6回 正準集団の方法1
・正準分布の導出
・分配関数の定義と表式
第7回 正準集団の方法2
・エネルギーの期待値
・エントロピーと圧力
・自由エネルギー
第8回 正準集団の方法3
・定積比熱と定圧比熱
第9回 正準集団の方法4
・古典理想気体の状態方程式
第10回 正準集団の方法5
・2準位系
・スピン系の帯磁率
第11回 中間試験(予定)
第12回 大正準集団の方法1
・大正準分布の導出
・大分配関数の定義
第13回 大正準集団の方法2
・エネルギーと粒子数の期待値
・エントロピーと圧力
・グランドポテンシャル
第14回 大正準集団の方法3
・古典理想気体の状態方程式
第15回 予備日


期末試験に加えて,中間試験も実施する予定.授業の進度や授業時間の余裕を考慮しつつ,適宜,小テストやレポートも実施する.


大筋は上記の計画に沿うが,受講生の理解度や周辺の授業の様子など,状況をみて適宜修正しつつ授業を行う.
 
教科書・参考書等  参考書は指定しませんが,各自,市販の統計力学の教科書を一冊は購入し,学習してください.演習書は,「大学演習 熱学・統計力学」(裳華房・久保亮五編)を推薦します. 
授業で使用する
メディア・機器等
板書を多用します.講義ノートは各自しっかりとってください.
 プリントを配布しますが,プリントは講義ノートの代わりではなく,あくまでも補助の教材であり,講義ノートをきちんととっていることを前提としています. 
予習・復習への
アドバイス
 授業は毎回,前回までのすべての授業内容を前提として行われるので,復習は必ず毎週,十分に行ってください.復習は,まず講義ノートの内容を十分に理解し,その上で,プリントもしくは各自購入した市販の教科書や演習書の関連する練習問題を解き,知識を定着させてください.1~2問程度の問題演習でも,何もしないよりははるかに効果的です.具体的な問題を解こうとすると,実はあまりよく理解していなかったことが明らかになることがありますが,そのときは基礎に戻って,十分に意味をよく理解してから再挑戦してみてください.予習はとくに必要なく,前回までの授業の内容を十分によく理解しておくことが予習となります. 
履修上の注意
受講条件等
 物理学プログラムの前年までの専門基礎科目を十分によく理解していることが履修の必要条件です.とくに,力学I・II,量子力学I,熱力学は結びつきが強く必須です.数学は,定積分の定義(区分求積法)や,指数関数や対数関数,簡単な微分積分など,基礎がしっかり身についていることが必要です。
 講義ノートは省略せずに,できるだけ100%を目指してしっかりととってください.また,機械的に写すのではなく,出来るだけ内容を理解しながら写すようにしてください.分からないところがあれば,質問に来て積極的に解決してください. 
成績評価の基準等  成績は平常点10%(程度),中間試験得点30%(程度),期末試験得点60%(程度)を基礎に,総合的に評価します.平常点は小テスト,レポート,出席状況などから評価します.
 
メッセージ  統計力学は,ミクロの世界とマクロの世界をつなぐ物理学として,あらゆる近代物理学や科学技術の基礎となる,人類の貴重な財産の一つといって過言でありません.前期の内容は,エントロピーや温度,不可逆性といった重要概念のミクロな理解といった重要事項を含むのみならず,後期の極めて重要な応用への足場となりますので,しっかり学習し,理解しておいてほしいと思います.
 
その他 同期に開講される量子力学演習と連携して進めますので,再履修生以外は並行して履修してください.
この授業は物理学プログラムの中で開講されることを想定してデザインされていますので,他学部他学科の学生が受講する場合には,難易度が高くなり,強い興味と学習意欲に加えて,十分な予備知識がないと現実の履修は困難と思われます.
http://home.hiroshima-u.ac.jp/hiro/index.html
 
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